全国夏の甲子園大会が今年も開催され、大いに盛り上がっています。
序盤は雨や台風の影響でスケジュールに変更があったりしましたが、その後は順調に好ゲームが繰り広げられています。
さて、今年の甲子園において、あるひとつのプレーが話題になっています。
それは、甲子園3回戦、優勝候補筆頭である大阪代表の大阪桐蔭高校と、こちらも強豪の宮城代表仙台育英高校との対戦中に起きました。
0対0で迎えた7回裏2アウト、仙台育英の攻撃。ショートゴロを打った仙台育英背番号2の選手が、一塁を駆け抜ける際に、大阪桐蔭のファーストの選手と交錯しました。
この動画を見て皆さんは、どう思うでしょうか。
私には、仙台育英の選手がわざと大阪桐蔭の選手の足を蹴り上げているように見えます。見えてしまいます。
このプレーによって、ファーストを守る大阪桐蔭の選手は負傷し、チームメイトに抱きかかえられながらベンチに戻りました(その後、試合には復帰しています)。
試合は、仙台育英が9回2アウトから劇的なサヨナラで勝利しました。
勝敗の命運を分けたのは、大阪桐蔭の守備において、件のファーストの選手が、一塁ベースを踏み外したエラーでした。
ここで多くの方が、一塁の選手のベースを踏み外すというプレーの背景に、7回の仙台育英の選手との交錯を連想するのではないかと思います。
(あのプレーがあったから、恐怖心が邪魔をして、一塁ベースを踏み外したんじゃないか?)
本当に関連性があるかどうかは別にして、そういう連想をしてしまうのも無理はないと思います。
交錯によってふくらはぎを負傷した大阪桐蔭のファーストの選手は、試合終了後は車椅子で球場を後にしたそうです。
「故意じゃない」は通用しない
この7回の交錯プレーは、この試合を見た人たちの中で大きな話題になっています。
要するに、仙台育英の選手による「悪質なプレー」として叩かれているのです。
正直言って、私もあのプレーには失望しています。
選手本人は「故意じゃない」と主張しているようですが、観る人によっては「わざとやった」と見えてしまいます。私自身も、わざとじゃないのかなぁ…、と訝しんでしまっています。
もしこれが、故意のプレーであれば、非常に悪質であり、スポーツマンシップに欠ける行為です。
故意なのか、そうじゃないかどうかは本人にしかわかりません。もし故意であるのならば、本人には深く反省してほしいと思います。
このプレーには多くの批判や罵倒が浴びせられている
そして、この記事の本題はここからです。
それは、故意であるかどうかに関わらず、このプレーが大変多くの人の関心を呼び、少なくない批判や罵倒が浴びせられているということです。
@Baseball117028なんであんな事をしたんだい?外道が。貴様のせいで野球が嫌いになったよ。痛い目に合えばいいよ
— ふなしー (@nbaaaaaam) 2017年8月19日
@Baseball117028素晴らしいキックでした!サッカー経験者の僕が言うので間違いないです(*^^*) 自信を持って下さい!そして殺人野球頑張って!
— TK (@yusaolovemisa3) 2017年8月19日
@Baseball117028本気でふざけんなよ?
— うんこ (@agvatmaoj) 2017年8月19日
てめぇがずるい蹴りいれたせいで桐蔭のファーストが警戒してベース踏めなくなっただろ
@Baseball117028というのが、件の選手のTwitterアカウントらしいのですが、このアカウント宛に厳しいリプライが容赦なく送り付けられています。
(現在はこのアカウントは削除されています)
このプレーがこれだけ叩かれるのは、これが甲子園だからでしょう。地方大会や練習試合でも悪質なプレーが容認されるべきではありませんが、全国放送で、今や国民的コンテンツと化し、多くの視聴者がいる甲子園大会でのプレーというのは、注目を集め人気者になれる可能性がある一方、裏を返せばこのような罵声を浴びせられるリスクがあるということです。
熱狂的なファンも多い甲子園では、その中傷や罵倒の熱気も同様にヒートアップしています。
甲子園というのは、それほどのコンテンツになっています。
実際に、このプレーはSNSだけでなく、スポーツ紙やスポーツニュースでも取り上げられています。
※余談ですが、甲子園好きの中には、地方大会のみならず、高校同士の練習試合、さらには高校内での紅白試合まで観戦に行くファンまでいるようです
実名で拡散されるリスク
さらに、もうひとつの大きなリスクがあります。
それは、故意じゃなかったとしてもこのような悪評が完全実名で拡散され、ネット上に残ってしまうということです。
私は、この記事において、意識的に仙台育英の選手の実名を出さないようにしてきました。しかし、ネット上のいたるところで、この選手の実名は広がっています。
それどころか、「悪質プレーの仙台育英〇〇」というようなかたちで広まっている場所もあります。
例えば、私もこの記事を「仙台育英〇〇選手の悪質プレーについて」というタイトルで記事を書くこともできたでしょう。実際、そのような記事を書いているブログも当然あると思います。
そうすると、この選手をGoogle検索した際に、そのような記事が検索結果で出てくるという状況になります。
彼らは高校生です。前途ある若者たちです。
プロ野球に進む選手もいるでしょう。大学へ進学して野球を続ける人もいるでしょう。
しかし、学生で野球を辞めて、社会人として企業に就職する者が大半でしょう。
そうなった場合に、就職活動において、採用側が就職希望者の名前をGoogle検索した際に、「悪質プレー」などの検索結果が出てきたら、どう思われるでしょう。確実に良い印象は与えません。
「甲子園出場」というブランドとリスク
「甲子園出場」というのはもはやブランドで、甲子園に出場しただけで良い企業に就職できた、という話も良く聞きます。
実際、私も大手企業の営業の方で、甲子園出場者の方を知っています。
レベルの高い甲子園に出場できるほどの高校で、野球部の厳しい練習に耐えることが出来た、という証明になるので、就職活動においてひとつのアピールになるのは間違いないことだと思います。
甲子園で、しかも強豪高校でレギュラーとなると、その価値も変わってくるのでしょう。
しかし、そういうメリットがある反面、今回のようなプレーの場合には、最悪の場合、将来を棒に振ってしまう可能性がある、ということを、私はあらためて感じました。
甲子園におけるプレーというのは、それほど重みがあるということです。
溌剌とした、気持ちの良いプレーを希望します。