最近のニュースや新聞で「民泊」という二文字を見ることが多くなってきたのではないでしょうか。
「民泊」とは、簡単に言うと、自己所有の空き部屋や空き家を旅行者などに貸し出すサービスのことです。
「Airbnb(エアービーアンドビー)」というサイトをご存知でしょうか。アメリカ発の民泊仲介サイト。泊まりたい人と泊めたい人をマッチングさせるサイトです。
このサイトの成長は凄まじく、この5年で、Airbnbでの民泊利用者はなんと353倍にも達したということです。
今、世界で大きく成長している「民泊」は、日本でも急速に広まりつつあります。
しかし、日本における民泊は、はっきり言ってまだ法整備が整っておらず、グレーゾーンでの運用が多いようです。そのあたりの問題点は、後述します。
この記事では、民泊における基礎知識、民泊の問題点、そして、「民泊ビジネス」で成長が期待できる企業をまとめていきたいと思います。
「民泊」とは?
民泊とは、実を言うとまだ定義ははっきり定まっていないのですが、「空いている部屋や家を旅行者などに貸し出すこと」というイメージで良いかと思います。
たとえば、あなたが少し大きめのマイホームを持っていたとします。家の中で、使っていない部屋が一部屋あったとします。この部屋、もったいないですよね?だから、部屋の中にベッドなどの宿泊設備を整えて、人が泊まれるようにする。そして、Airbnbなどの仲介サイトに登録して、1泊いくら、というかたちで他人に貸し出す。これが「民泊」です。言ってみれば、「プチ不動産業」ですね。
いまや、個人だけでなく、大家さんや企業も空室率に悩む時代です。彼らも「民泊」に興味しんしんで進出をうかがっています。
なぜ今「民泊」が注目されているのか?
なぜ今、日本で「民泊」が盛り上がっているのでしょうか。
まず一つに訪日外国人の大幅増加があります。
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特にここ数年の伸びは凄まじいです。観光大国としての日本が確立しつつあります。
さて、観光客が増えると、どんなことが起きるでしょう。
それは、「宿泊施設の不足」です。
出張をよくするビジネスマンなら大分前から肌で感じておられると思いますが、今は、東京や大阪などのビジネスホテルは、本当に予約が取れません。訪日外国人たちが、予約をかっさらってしまうのです。
そのため、宿泊料金も高騰し、全国チェーンで展開する有名なアパホテルは、場所によっては1泊3万円ぐらいが当たり前になってきています。(私の感覚だと、ビジネスホテルは高くても1万円ぐらいです)
そこで「民泊」が脚光を浴びているのです。
宿泊料金が高くて困るのは観光客も同じ。民泊で安く宿泊できるところがあるなら、そこに申し込みが入るのも無理はありません。「ホテル並み」のホスピタリティを求めるお客さんばかりではないのです。
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日本における「民泊」の問題点
旅館業法上の許可
しかし、日本では、旅館業法において「宿泊料を取って他人を宿泊させる行為」は旅館業法上の許可が必要になります。
「民泊」は、明らかに「宿泊料を取って他人を宿泊させる行為」ですので、許可が必要になります。
厚生労働省も、Airbnbなどの仲介サイトを通じて「反復継続的に有償で部屋を提供するものは許可が必要」という見解を示しています。
しかし、実際に旅館業法上の許可を取ったとしても制約は多く、「受け入れを原則拒否できない」「住宅地での営業は不可」など、自由に営業は出来ません。
実情は、無許可で「民泊サービス」を提供している事業者が多いようです。
治安上の問題
さらに、許可を取って宿泊させているとしても、まだ問題はあります。
それは「治安」の問題です。
例えば、あなたが住むマンションの隣の部屋の住人が「民泊」で部屋を貸し出します。すると、どういうことが起こるでしょうか。「見ず知らずの他人が、マンションに出入りする」ことになります。
安心してゆっくり休息するはずの生活の本拠が、脅かされる可能性があります。
現代においては、隣に住む人が誰か、なんてわからない、という人も多いとは思いますが、賃貸であれ分譲であれ、入居時に審査をして、ある程度の身元は保証されている人が入居しています。
特に、いろんな文化を持つ外国人の方が、我々の居住空間に進出するとなると、トラブルが起きる可能性が高いと思われます。
「民泊」は良い面だけではなく、そういった問題点もはらんでいます。
「民泊」は全面解禁の方向へ
政府もこのような実情を踏まえて、「民泊」の法整備へ向けて動いています。方向としては、「全面解禁」に向かって動いています。
民泊を全面解禁、住宅地で営業認める 政府原案 :日本経済新聞
おそらく、4年後に控える「東京オリンピック」を見据えて、という視点ももちろんあるでしょう。
今は、東京の大田区が「民泊特区」として民泊条例を制定し、特定の条件を満たした物件について、民泊事業の許可を与えています。
大田区ホームページ:大田区国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(特区民泊)
この「民泊」が全面解禁となれば、新たなビジネスとして、民泊市場の成長性は大きく広がるでしょう。
そこで、民泊市場で伸びそうな企業の株価が楽しみになってくるというわけです。ここからは、「民泊ビジネス関連銘柄」をまとめていきたいと思います。
「民泊ビジネス」関連銘柄13選
株式会社メタップス(6172) データ解析
売上高:8,886百万 営業利益:▲310百万 (28/8期)
自己資本比率:約45.6% 時価総額:約276億円
コメント:基本的に民泊事業におけるデータ解析をしており、そのデータ解析をサービスとして提供している。グループ会社のSPIKEペイメントが提供する『SPIKEデータ for 民泊』では、指定した地域の物件数、客室単価、平均収益額を検索できる。また、完全子会社のVSbiasは、複数の民泊予約サイトを管理できる『AllinBnB』、ビッグデータ解析に基づいて民泊に特化したリノベーションから事業展開までのサポートをする『エアリノベ』を運営している。
メタップス、民泊物件データ検索サイト 『SPIKEデータ for 民泊』をオープン 〜民泊対象物件の価格設定、 収益予測に使える情報をピンポイントで取得可能に〜
VSbias、民泊収益化ツール『AllinBnB』β版の無料提供を開始 〜複数民泊予約仲介サイトの一元管理を可能にし、民泊運用を効率化〜
株式会社アドベンチャー(6030) 格安航空券予約サイト運営
売上高:2,683百万 営業利益:286百万 (28/6期)
自己資本比率:45.7% 時価総額:152億円
コメント:格安航空券予約サイト『skyticket』を運営。同サイト内に、「民泊」ページを設置し、民泊物件の仲介サービスを提供する。また、不動産事業を手広く展開する株式会社AMBITIONとの業務提携を発表している。
民泊事業への参入のお知らせ|株式会社アドベンチャー
skyticket内に民泊サービス開始のお知らせ|株式会社アドベンチャー
株式会社AMBITIONと民泊事業において業務提携のお知らせ|株式会社アドベンチャー
株式会社AMBITION(3300) 不動産関連業
売上高:9,841百万 営業利益:199百万 (28/6期)
自己資本比率:22.7% 時価総額:約28億円
コメント:民泊情報サイト『MINPAKU.biz』を運営。さらに、ZUU onlineと共同でwebメディア『民泊投資ジャーナル』の運営も行っている。前述の株式会社アドベンチャーと民泊事業において業務提携を発表しているほか、大田区において東京第一号となる民泊事業認定物件「セジョリ池上」の管理を行っている。
東京第1号「民泊事業認定」アンビション管理の大田区民泊物件 | 日本最大級の民泊情報サイト MINPAKU.Biz | 民泊・Airbnb運用代行比較
アンビションとZUU、ウェブメディア「民泊投資ジャーナル」開設 | 日本最大級の民泊情報サイト MINPAKU.Biz | 民泊・Airbnb運用代行比較
株式会社インベスターズクラウド(1435) 不動産管理アプリ
売上高:21,512百万 営業利益:1,897百万 (27/12期)
自己資本比率:61.5% 時価総額:約594億円
コメント:民泊事業者向けに、土地のマッチングから建物の施工管理、賃貸管理までをワンストップで行うことが出来るアプリ『TATERU』を開発。また、民泊物件の開発・管理を手掛ける完全子会社iVacationsは、訪日外国人向けに無償でレンタルできるスマートデバイス『TATERU Phone』を開発中。NTTドコモと共同実験を進めている。
民泊向けIoTデバイス「TATERU Phone」、翻訳機能でドコモと連携 - CNET Japan
スマートドアホンで「民泊×IoT」に挑むインベスターズクラウド - CNET Japan
株式会社ネクスト(2120) 不動産ポータルサイト
売上高:25,707百万 営業利益:3,994百万(28/3期)
自己資本比率:66.9% 時価総額:約1,073億円
コメント:不動産物件サイト「Home’s」を運営している当社が、民泊事業に参戦。民泊予約サイト『Lifull Stay』をローンチ。試験運用をしながらノウハウを蓄積し、法整備が整った後に、サービス拡大を目指す。
2016年6月より、民泊予約サービスの試験運用開始 | 株式会社ネクスト
民泊参入を準備するHOME'Sの勝算 ネクスト代表取締役社長 井上高志|短答直入|ダイヤモンド・オンライン
株式会社シノケングループ(8909) 不動産販売
売上高:55,070百万 営業利益:6,806百万 (27/12期)
自己資本比率:25.6% 時価総額:約334億円
コメント:民泊対応型の不動産取り扱いを開始。また、旅行関連商品の販売をしているイー・旅ネット・ドット・コム社と提携して、法整備に伴って、シノケングループが保有する数百の不動産物件の予約・販売に取り組むプロジェクトを発足させている。
「民泊」関連事業に参入 | 株式会社シノケングループ
シノケングループが民泊対応型マンションを新規開発 | 株式会社シノケングループ
シノケングループがイー・旅ネットと事業提携。法整備に伴い「民泊」本格始動 | 日本最大級の民泊情報サイト MINPAKU.Biz | 民泊・Airbnb運用代行比較
株式会社プロパスト(3236) 不動産業
売上高:12,532百万 営業利益:904百万 (28/5期)
自己資本比率:16.9% 時価総額:約66億円
コメント:前述のシノケングループとの間で、プロパスト社のデザイン力、企画力においてシノケン社と業務提携をして、民泊事業を進めていくことを発表。どのようなかたちでの提携なのか詳細は明らかにされていないが、民泊物件のリノベーション関連における提携と予測される。
株式会社シノケングループと連携したバリューアップ業務の推進について
株式会社大京(8840) 不動産販売
売上高:334,853百万 営業利益:18,318百万 (28/3期)
自己資本比率:63.8% 時価総額:約1,889億円
コメント:ライオンズマンションなどのブランドを手掛ける大手不動産会社。条例で民泊事業が認められている大田区を中心に、民泊事業参入初年度は約100戸の空き家を買い取って改装し、民泊利用者を受け入れる構想。さらに、傘下の大京穴吹不動産が、『旅家(たびいえ)』という民泊予約サービスを開始した。
「ライオンズマンション」の大京、民泊事業に参入へ。日経が報道 | 日本最大級の民泊情報サイト MINPAKU.Biz | 民泊・Airbnb運用代行比較
旅に、住まいを。家具・家電・アメニティ付の滞在施設「旅家<TABI-IE>」|大京穴吹不動産
株式会社オープンドア(3926) 旅行宿泊比較サイト
売上高:2,468百万 営業利益:849百万 (28/3期)
自己資本比率:88.6% 時価総額:約332億円
コメント:国内・海外の航空券やツアー、宿泊施設の比較サイト『トラベルコちゃん』
を運営。民泊予約サイトを運営する『STAY JAPAN』との提携を発表し、トラベルコちゃんにおいて民泊プランの一括検索・比較が可能になった。
オープンドア---トラベルコちゃん、民泊予約サイト「STAY JAPAN」との連携を開始 | ZUU online
株式会社ハウスドゥ(3457) 不動産業
売上高:17,275百万 営業利益:1,277百万 (28/6期)
自己資本比率:16.8% 時価総額:約112億円
コメント:空き家、空き部屋を所有する個人や収益物件保有者を対象に、資産の有効活用を支援するサービス『空部屋Do!』を展開。さらに、旅行関連商品を扱うイー・旅ネット・ドット・コム社と業務提携を発表し、民泊事業へ積極的に進出する姿勢を見せている。
空部屋・空地・空家の資産活用サービス開始について
ハウスドゥ、イー・旅ネット・ドッド・コムと事業提携。民泊への積極姿勢で株価は4連騰 | 日本最大級の民泊情報サイト MINPAKU.Biz | 民泊・Airbnb運用代行比較
株式会社ファーストロジック(6037) 不動産投資サイト運営
売上高:1,277百万 営業利益:584百万 (28/7期)
自己資本比率:79.5% 時価総額:約98億円
コメント:収益物件数国内No.1の不動産投資サイト『楽待(らくまち)』を運営。民泊事業に対する直接的なサービス展開はないものの、個人の空き家、空き部屋を提供する、という民泊の特性上、当社の手掛ける事業に恩恵をもたらす可能性は高いと考える。
ファストロジク Research Memo(8):民泊との親和性は高い | ロイター
エキサイト株式会社(3754) ポータルサイト運営
売上高:7,560百万 営業利益:▲350百万(28/3期)
自己資本比率:85.3% 時価総額:45億円
コメント:清掃代行サービスに「民泊カテゴリ」を新設。安価で清掃代行サービスを提供する。民泊者ごとに宿泊後の清掃は必須であるため、今後、民泊清掃代行は伸びていく可能性がある。
民泊清掃代行 | ファミリーサポーター
エキサイト、民泊清掃代行カテゴリ新設でストップ高 | 民泊専門メディア Airstair
株式会社アパマンショップホールディングス(8889) 不動産賃貸
売上高:32,270百万 営業利益:2,407百万(27/9期)
自己資本比率:7.6% 時価総額:136億円
コメント:自社の不動産賃貸ポータルサイトにおいて、民泊物件の検索が出来る『APAMAN B&B』を開設。現在はまだ準備中だが、法令整備のタイミングを待って、サービスを開始する予定。日本における民泊銘柄の本命と見る投資家も多い。
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